虐待のサバイバーたちは子ども時代に受けたトラウマを再体験しやすい

「身体はトラウマを記録する――脳・心・体のつながりと回復のための手法」 によると、1万人以上を対象にしたACE研究(Adverse Childhood Experiences:逆境的小児期体験)では、幼少期に虐待を受けたサバイバーは、その後の人生で、さらに同じようなトラウマを経験する率がとても高いことがわかっています。

研究に参加した女性は、成人してからレイプされたことがあるかどうか訊かれた。
ACE得点が0点の人では、レイプされた人は5パーセントだったのに対して、四点以上の人では33パーセントだった。
子供のときに逆境的あるいはネグレクトの犠牲になった女性は、のちの人生でなぜそれほどレイプされやすいのか。この疑問に対する答えは、レイプ以外のじつに多くの面にも密接に結びついている。
たとえば、幼少期に家庭内暴力を目撃した女性は、大人になったときに自らも暴力的な関係に巻き込まれる危険が大幅に増し、家庭内暴力を目撃した男性は、自分の伴侶を虐待する危険が7倍になることを、多くの研究が示している。(p245)

虐待のサバイバーたちが、子ども時代に受けたトラウマを再体験しやすいのは、脳に刻み込まれた虐待的絆によって、そうした状況に自ら飛び込んでいきやすいためです。

PTSDを負った兵士たちと同じく、サバイバーたちは、命の危険を感じる状況では生き生きしたエネルギーを感じられるのに、平和な日常では凍りついてしまいます。

虐待を受けた人やトラウマを負った人のあれほど多くが、真の危険に直面したときに思う存分生きているように感じ、誕生パーティや家族でのディナーのように、生か死かの二者択一よりは複雑ではあるものの客観的には安全な状況では麻痺状態になるのも、このせいだ。(p138)

サバイバーたちは、慢性的なトラウマを生き抜く中で、兵士たちと同様に、脳や身体がトラウマ的状況に適応して配線され、最適化されていきます。

異常な環境に適応した脳の配線は、手続き記憶、つまり身体の動きや反応のパターンとして現れます。

別の文化圏で生まれ育った人は、一見、うまく新天地に溶け込んでいるようでも、ちょっとした仕草や癖から異邦人だとわかってしまいます。
生まれ育った文化で学んだ身のこなしは、骨の髄まで染み込んでいます。


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