筋力トレーニングの基礎理論(義務教育編 Part1)

基礎知識

筋肉のもととなる筋タンパク質は24時間、いつも分解と合成を繰り返しています。
筋トレによって筋肉量を増やすためには、筋タンパク質の合成量が分解量を上回らなければいけません。

トレーニングを行っただけでは筋タンパク質の合成は高まりません。
また、「トレーニング後のアルコール摂取は筋肥大の効果を減少させる」

トレーニング+タンパク質を摂取=筋タンパク質が多量に合成され、筋肥大
トレーニング後のアルコール摂取はトレーニング効果を3割も減少させる

近年になってアミノ酸の安定同位体を用いる研究手法が構築され、運動強度と筋タンパク質の合成作用との関係が明らかになると、トレーニングの研究が一気に進みました。

必要タンパク質の量

2017年に報告されたマックマスター大学のMortonらのメタ分析
「1日で体重1kgあたり1.62g(最大で2.2g)」

1日あたり1.62g/kgの摂取量とは、体重70kgで113gほど

タンパク質の効率的摂取タイミング

トレーニングにより筋タンパク質の合成感度が上昇する時間が24時間
筋タンパク質の合成感度が高まっているトレーニング後の24時間で最適なタンパク質の摂取量を摂取することが筋肥大の最大化につながる

トレーニング後の24時間以内に 上記必要量を摂取

運動強度

1RMは、1回で持ち上げられる最大の重量(1 repetition maximum)とする
一般に、10repなどという時の「rep」は「repetition(繰り返し)」の略だと思われます。

現在では、トレーニング効果を最大化するためには、運動強度に運動回数をかけ合わせた総負荷量を考慮することが推奨されている。

筋タンパク質の合成作用=トレーニングの総負荷量(運動強度 × 運動回数)

効果的に筋肉を肥大させるためには、トレーニングの「総負荷量」を高めることが重要です。初心者は低強度×高回数のトレーニングを取り入れ、上級者はその倍の運動回数を行う必要があるようです。また最大筋力を高めたい場合は、高強度×低回数のトレーニングを取り入れると良い。

総負荷量を高めるためには「疲労困憊になるまで自分を追い込む」ことが前提。
オーバートレーニングのリスクがあるので、無理せずセット間で休息(インターバル)が必要。
インターバルの時間は3分~5分程度を推奨。(少し長めにとる)

セット数

KriegerやKumarらの報告から「3セット」が筋タンパク質の合成作用を高める最適なセット数であることが推察されています。また、3セットより多くのセット数においても、筋タンパク質の合成作用を増加させる可能性はあります。しかし、中枢性・末梢性疲労のリスクや、1日のセット数でなく週単位のトレーニング頻度で考えると3セット程度が適当。

頻度

週単位の筋タンパク質の合成量という視点から考えると、疲労困憊まで追い込むように総負荷量やセット数を増やすのではなく、疲労が残らない程度に調整し、トレーニング頻度を増やしたほうが効率的なトレーニングになるとDankelらは推察している。

1日単位のトレーニング内容を考えるのではなく、週単位で筋タンパク質の合成量を増やすようにトレーニング内容をデザインするのです。

しかしながら、1日あたりのトレーニングのボリュームをどの程度に調整すれば良いのか、通常のトレーニング頻度に比べて有意な筋肥大が生じるのかという疑問については今後の検証が必要。

現状では、ACSMのガイドラインやメタアナリシスに従い、週2〜3回のトレーニング頻度が適当であると思われます。

効果的なトレーニング=総負荷量(運動強度 × 運動回数)× セット数 × 頻度

オーバートレーニングに注意

過度の運動回数の実施には注意が必要のようです。Schoenfeldらは2007年に報告されたレビュー(Wernbom M, 2007)をもとに、運動回数の実施による筋肥大の効果は「逆U字型」であるとしています。

Wernbomらのレビューでは、同強度での運動回数40回以下では筋肥大が1日に0.15%増加し、40-70回では0.26%の増加が認めらました。しかし70-120回では0.18%に減少することが示されている。

Schoenfeldらは推奨される運動回数は1日40-70回程度であり、それ以上の運動回数ではオーバートレーニングを生じさせるリスクがあると述べています。そのため、低強度×高回数のトレーニングの実施では、セット間で十分な休憩時間をとり総負荷量を増やすべきだと注意を喚起しています。

基本方針まとめ

絶対に忘れてはいけない3つのルール

  1. 筋タンパク質は24時間、いつも分解と合成を繰り返している。
  2. 筋タンパク質の合成量を最大にできるようにデザインする。
  3. タンパク質・トレーニングともに、ただ増やせばいいわけではない。(増やし過ぎは逆効果になる)

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紹介 Azusa Nakano

中野システム研究所 所長

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